乱雑性とは何か

『インフォメーション: 情報技術の人類史』(ジェイムズ グリック)の
第12章 乱雑性とは何か
から,先人たちの言葉を抜き出してみる.

「なんだか,型がだんだん見えづらくなっている気がするんだけど,そう思わない?」(マイケル・カニンガム2005)

「確率は時間と同様に人間が発明した概念であり,人間は確率に付随する曖昧さの責任を負わなくてはならない」(ホイーラー)

「偶然は,われわれの無知の唯一の物差しだ」(ポアンカレ)

「偶発性の現象とは,その定義からして,われわれの知らぬ法則を有するもののことである」
 この定義は間然するところのないものであろうか?カルデアの羊飼いが星の動きを見守っていたとき,
 天文学の法則はまだ知らなかったわけだが,星が乱雑に動くと言えることを夢見ただろうか?」(ポアンカレ)

「乱雑な数字を生み出す算術的手法を考察する者は誰でも,当然のことながら罪にまみれている」(フォン・ノイマン)

「不完全性と計算不可能性と,さらにはアルゴリズム的乱雑性にもかかわらず,数学者たちは究極の確実性をあきらめたくないのだ.なぜか?
 そう,究極の確実性は神のごときものだからだ」(チャイティン)

「今まで発見されてきた科学の法則は,宇宙に関する大量の経験データの要約として見ることができる.
 現在の文脈では,個々のそういう法則は,その法則のもととなる経験データの簡潔な符号化という手法へ変容させられる」(ソロモノフ)